艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「違います、ほんとに!」
「違わないだろ? だから俺にマンションで待ち伏せされたことも葛城に話せなかったんだよね。あの後葛城から何の圧力もなかったから、話してないんだなってすぐわかったよ」
「それはっ……だって……」
違う、と言い切れなかった。確かにあの時、私は葛城さんと御手洗さんの関係を疑って、不信感を抱いてしまっていた。
だけど。
「協力なんてしてない。ほんとです、ほんとに……」
今は、ちゃんと信じてる。だから信じて。
焦って前のめりになり、ぱくぱくと唇が言葉を探して動くけれど、見つからない。
だけど、狼狽えているのは私だけで、葛城さんは落ち着いていた。