艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

「遅くなって申し訳ございません、奥様」


足音がしたかと思うとそんな声がして、ハンカチを少しだけずらして目線を上げる。
さっき、駆け寄ってくれた男の人だった。


「事後処理に手間取りました。社長は?」

「まだ、で、」


涙声でまともに喋れないが、察したようで眉を寄せ一度黙り込む。
葛城さんは、私と救急車で運ばれる間、一度だけ目を開けたけれどぼんやりとして言葉を発することなくすぐにまた、目を閉じた。


頭を強くぶつけていて側頭部も切れており、出血している。

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