艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
だけど、どうしてだろう。
顔を見れば、意外と平気だった。


母に連れられてやってきた祖母は、昔の凛とした雰囲気も覇気もなく、随分と小さく見えた。


「ご心配をおかけして申し訳ありませんでした」


葛城さんも、頭の包帯がしばらく取れないだけで普通に立って歩いていて、リビングのソファで和やかに談笑していた。
それを見て母も祖母もほっとしたらしい。さすがに本調子ではないことは察してくれて、小一時間ほどの時間だった。


「藍ちゃんが幸せそうで良かったわ」


玄関先で、葛城さんと並んでお見送りをするとき、私たちを眺めて祖母がしみじみとそう言ったときは、さすがに複雑な感情が沸き上がったけれど。


「幸せにします、必ず」


私の背に手を当ててそう言ってくれた葛城さんのおかげで、心の波は凪いでいく。

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