艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

「……圭さん、お腹の子はですね、今まだ……」
「いい。言わなくていい、自分でもわかってるから」


さすがに、ベビーベッドやベビージムは、今部屋にあっても邪魔になるだけだ。
組み立てる前に当然、収納行きになった。


赤ちゃん用品についつい目がいってしまって、気が付いたら購入してしまっているようだ。
つわりの間も、ずっと心配してくれて栄養士を雇おうかとまで言い出す始末。


お金にものを言わせる癖があるのは気付いていたけど、子供が生まれるまでにはちょっとその癖は直して欲しい。

そういうわけで、つまり私はとっても大事にしてもらっているし、だから不安を感じるわけはないのだ。

だけど漠然と胸の中央に居座る、何かのマイナス感情。


「やっぱり、マタニティブルーってやつなのかなあ?」


家にひとりでいると特に、そのマイナス感情は膨れ上がってくる。

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