艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「あ」
振り返るより早く、背中で少しだけ上半身を起こした彼が私の裸の肩に口づける。その目が、今もスマホを見ているのに気が付いて、慌てて伏せて置いた。
「ごめんなさい、起こした?」
「俺が、何か悩ませてた?」
私の問いかけはスルーして、聞き出そうとする。
寝起きの掠れた声なのに。
「ち、違います! 悩んでた、っていうか、私がひとりでなんか……色々考えちゃっただけで」
「色々って?」
なのに、誤魔化されてくれそうにない。
「色々です、なんか、寂しいような不安なような。圭さんと結婚して赤ちゃんまで出来て幸せなのに、なんか時々……」
「うん?」
「……心もとなく、なってしまって」
そう言った直後、私の体を抱く腕にきゅっと力が込められた。