艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「大丈夫です、でも、なんかこうしてれば、安心で」
背後から抱きしめながら、彼が唇を私のうなじや首筋に押し当てる。抱きしめながら肌を撫で、私の髪に顔を埋めた。
「……こうしていれば?」
「……はい」
それって、つまり。
抱いてくっついてもらってれば幸せで、久しぶりに実感できたから、と言ってるようなものだが。
他に言いようが見つからない。かあ、と耳が火照り。恥ずかしくなって、彼の腕に隠れるように潜り込んだ。
まるで、子供みたいだ。
私がこれから、お母さんになるのに。
「……すきだよ、藍」
縮こまる私の耳元に釘付け、彼が言った。
上から覆い包み込むように、閉じ込められる。
「だから、小さなことでもなんでも、ちゃんと俺に言って」
「はい。ありがとうございます……でも」
体温に包まれ頷きながらも、少しばかりの主張をする。
「圭さんは、お仕事が大変だし。私は自分でしっかりしないといけないところは、頑張っていきたいです」
これは、結婚してからずっと心にある。
決意のようなものだ。
「あなたの隣に少しでも見合う人間でいたいので」
彼は、私に言ってくれたけれど。
『今の君のままでいられるように、守らせてほしいと思っているよ』
とても嬉しいけれど、私は私で、彼の隣に相応しい人間でありたいと思う。
かといって、心配をかけていては元も子もないのだが。そこはちょっとずつ頑張りたい。
忙しい彼に最初から頼り切るよりは、自分でまずは考えていきたいと思う。