艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
反抗期にすら何をしてもそんな調子だったから、逆に祖母にだけは反抗できなくなっていたので不思議なものだ。
顔の熱が引かなくて、コップの水を飲んで誤魔化す。正面で頬杖を突く葛城さんの視線を感じて、もうひとくち飲んだ。
実際祖母との会話が本当にそうだったのか、これ以上追及してもわかりそうにない。
「……も、いいです。今日はそんな話をしにきたんじゃないですよね?」
気を取り直して背筋を伸ばし、スプーンを置いた。
「プリンは食べ終わった?」
「はい、ですから、いい加減話を……」
「それじゃあ、外に出ようか。庭園に通じる出口があるんだよ」
店内では話せない、ということなのだと、すぐに理解した。立ち上がった彼が、私の傍まで来て手を差し伸べようとする。私はその前に、自分で立ち上がった。
彼のエスコートを受けるかどうか、それはちゃんと話を聞いてからだと決めている。