艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

ここしばらく、実家がピリピリしていたわけが、わかった。兄も何か、柳楽堂のことを言いかけたとき言葉を濁した節がある。
本当のことなんだ。


「大体、花月庵は今までが宝の持ち腐れなんですよ。もっとコネなりなんなり利用すればよいし、百貨店市場にも売り出せばここまで落ちることはなかったのに」

「落ちるとか言わないで」


悔しさに、かっと頭に血が上る。
手は未だ、葛城さんに捕まったまま、下から睨んだ。彼はその私の視線を微笑みで受け止める。


「花月庵は落ちたりしません」

「じゃあ、どうしますか?」


そう問い返されて、すぐに答えは出なかった。父と兄がどうにも出来なかったことを、私が一体どうできるというのだろう。だけど黙って見ていることなどできない。
そして抑々、こんな話を私に持ち出した葛城さんにも当然意図がある。


「カツラギは、柳楽堂とは違うと言いたいんですか」




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