艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
聞いてしまってから少し後悔。
相手に話しの間口を開いてしまったようなもの?


だけど駆け引きなんてわからない私と、葛城さんとでは勝負にもならない。直球で行くしかないのだ。


「現在の従業員、経営権、もちろん花月庵の名前もそのままに、と約束する」

「……本当に?」

「君が協力してくれるなら」

「葛城さんが欲しいのは顧客と技術の共有だけ、ということ?」

「……そう、君次第でね」


つ、と背筋を汗が伝う。こんなこと、勝手に決めてもいいのかわからない。だけど、今現状、花月庵を自由にできるだけの力がこの人にはあるのだ。


彼が、ぎゅっと握った私の手を恭しく持ち上げる。
左手だ。その薬指を、彼の指が撫でた。



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