艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

周囲を見渡した。今はまだパーティの途中で、この辺りには人の気配はない。が、念のため通路の隅まで寄った。

「……お前。政略結婚がどういうことかわかってんのか」

「わかってるよ。私だって、今日ここに来るまでにたくさん考えたよ」


私と結婚することで、彼にもメリットがある。それはきっと、買収だけでは手に入らないものなのだろう。


だけどその代わり、私にも彼に花月庵を出来るだけ現状で残してもらえるように交渉していかなくてはならない。そうでなければ、葛城さんにとってだけ意味のあるものになってしまうのだ。


その点において、彼は多分話の分かる人ではないだろうか。
こんなものはただの直感に過ぎないけれど、祖母もまた、葛城さんとのことを反対したりはしなかった。


「葛城さんは、少なくとも私を蚊帳の外にはしない。ちゃんと話してくれる。だから花月庵のことも」


ちゃんと、結婚するだけのメリットを残してみせると言いたかったのだが、途中で言葉を遮られた。


「そんなことを言ってるんじゃない。好きでもない男と結婚することになるんだってことだよ」

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