Jewels
金剛は、明るい声でしっかりと告げる。


「理想の女性だったんだ。探していた、理想の。」

「それは…つまり…恋慕を?」

「さぁ、どうなんだろうな。」


金剛は、はぐらかすように微笑む。
巫女は呆れたように口を開く。


「………無邪気というのか、邪まというのか…。」

「実に無邪気な理由だ。」


巫女はため息をついて話す。


「よろしいですか、ここは神殿です。勤める者はみな聖職者。いくら王子様とはいえ、求愛にはお応えできかねると思いますが。」


巫女の鋭い目線に、金剛は驚く。


「………ばれてたのか。」

「ええ。」

「参ったな。せっかく平民の作業着で来たのに。」

「お顔も何か変装をなさるべきでしたね。」


巫女の挑戦的な眼に、目線を合わせて金剛は気まずそうに笑む。


「覚えておこう。君の名は?」


巫女は静かにかしずいて答えた。


「三の巫女、瑠璃(ルリ)と申します。」

< 36 / 72 >

この作品をシェア

pagetop