この手をぎゅっと、離さないでね?
「いらねぇよそんなもん。手ぇふっときゃ水気は飛ぶからよ」
廊下の白い壁にもたれて、腕を組んだままの光琉くんはハンカチを受け取ろうとはしなくて。
「そう?ならいっか!」
ブレザーのポケットにハンカチをしまった。
「んじゃ戻ろ?……って、行かないの?」
歩きだした私のあとを、光琉くんは壁にもたれたまま追いかけてこない。
「なんか……アンタってちょっと変わってるよな」
「変わってる!?私が?」
「アンタ……さっき弁当がダメになったのは俺のせいじゃない、って言ったじゃねぇか」
「言ったけど……?」
それが変わってるってこと…?
ん?
普通じゃない?