この手をぎゅっと、離さないでね?



「いらねぇよそんなもん。手ぇふっときゃ水気は飛ぶからよ」



廊下の白い壁にもたれて、腕を組んだままの光琉くんはハンカチを受け取ろうとはしなくて。



「そう?ならいっか!」



ブレザーのポケットにハンカチをしまった。



「んじゃ戻ろ?……って、行かないの?」



歩きだした私のあとを、光琉くんは壁にもたれたまま追いかけてこない。



「なんか……アンタってちょっと変わってるよな」

「変わってる!?私が?」

「アンタ……さっき弁当がダメになったのは俺のせいじゃない、って言ったじゃねぇか」

「言ったけど……?」



それが変わってるってこと…?

ん?

普通じゃない?



< 103 / 347 >

この作品をシェア

pagetop