この手をぎゅっと、離さないでね?



だけど光琉くんは物怖じすることもなく、洋くんとの距離を1段、また1段と詰めていく。

洋くんも光琉くんを睨みつけながら、階段を降りていく。



どうしよう…。

このまま胸ぐらを掴みあったりなんかして、ケンカがはじまっちゃったら…。



息をのんで2人を見ていたけど、光琉くんは洋くんの横をスッと通りすぎて。

どういうわけか、私の前にきて足を止めた。



「よぉ、あかり。選ぶならもっとマシな男にした方がいいんじゃねぇか?」



ニコッと笑って、私の頭にぽん、と手を置いたりするもんだから。



「……へ?」



あまりに予想外のことだったから、マヌケな声がもれた。



< 176 / 347 >

この作品をシェア

pagetop