借金取りに捕らわれて 2
何とか誤解されずにすんだみたい。


と、胸を撫で下ろしたのもつかの間…



「俺がまだ食べたことがないヒロの手料理を。」



秋庭さんの視線は、イスに座りご飯を食べている雪斗君の背中に向けられている。



ん?

これってもしかしてまだ解決してない?

と言うか、怒ってたのって雪斗君を部屋に上げたことだけじゃない?



「御馳走様でした。じゃあ俺はこれでお邪魔しますね。」


私達が話していた後ろで、箸を置いた雪斗君が立ち上がって玄関へと向かう。


「ヒロさんとっても美味しかったです。お礼はまた改めてさせて頂きますね。」


雪斗君はこの状況を全く分かっていない様に、にこにこと無邪気に笑って、くまのぬいぐるみを脇に抱え私達の横を通っていく。


「それじゃ失礼します、" 隼人さん " 。」


「………」


そして雪斗君は嵐の様に去って行った。

危険な状況を残して…





秋庭さんが一歩玄関に足を踏み出すと、その後ろでそれまで空いていた扉がパタンと閉まった。


それほど大きな音ではないのに、朝の静けさにそれはやたらと響く。


逃げられないーーーー

きっとお仕置きはまぬがれない…
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