秘密の約束。
「あたしの正体知ってるんでしょ?」


正体を現した。声はいつもより低くく、まるでおっさんだ。


「あなた…上原ひろしでしょ?おばちゃんから聞いたわ」


あたしは緊張して手が震えていた。


大丈夫…


大丈夫よ、苺香…。




「あぁ。お前らのせいでなにもかもめちゃくちゃだ」



完璧に男になった。その変貌ぶりはすこし感心した。

男の人でもこれだけ女の人になりきれるんだと。



「それは…あなたが悪いんじゃない。睦月のお母さんを殺すから…」


まるで自分が悪くないかのように言う先生に腹がたった。

もう先生じゃなく、ただの『上原ひろし』だけど。


ひろしはこう聞いた。



「あとちょっとでなにが起きたと思う?

──そうだ。時効があったんだよ」


あたしに答えさせる暇もなくひろしは答えた。
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