秘密の約束。

親との別れ。

あたしは普通の女の子。

別にかわいい訳じゃないし、貧乏でもなければ裕福でもない。

一人っ子で親はいっぱい愛情を注いでくれた。

ごくごく普通の女の子。

だけど一つ違うのは親を亡くしたってこと。


相手の居眠り運転が親の車を直撃して、即死だった。

遺書もなにもない。

だってあたしのお母さんとお父さんは死ぬ気で仕事に行った訳じゃないから。



ただいつものように仕事に行って

いつもの道をいつものように通っていただけ。

ただそれだけだった…




あの家に1人は寂しい。

広すぎるよ。お父さん。


台所が寂しそうだよ。お母さん。

戻ってきてよ…







「お邪魔しまーす」


玄関から声が聞こえた。

親同士仲のいい遠藤のおばちゃんたちだ。

この人達はもう家族みたいであたしを自分の子供みたいに可愛がってくれた。

きっと子供好きなんだろう。


「1人じゃ寂しいでしょ」


「うちん家おいでよ」


おばちゃんとおじちゃんはそう言ってくれたけど、まだここにお父さんとお母さんがいる気がして、出たくなかった。

あたしはゆっくり顔を横にふった。

ごめんね。

でも嬉しかったんだよ。
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