秘密の約束。
「それだけ?」

いつもの睦月。だけど、少し声が震えている。

「俺風呂入るわ。」

睦月は階段を降りていった。

足の力が抜けて、その場にしゃがみこんだ。

睦月は殺人者の子供なんだ。わかってるけど、これが差別の気持ち。

あたし最低だ。

これを聞いてもなにもならないのに。

睦月は睦月じゃん。

殺人者の子供だって関係ない。

だけど誰を殺したいのかは聞けなかった。

とりあえず、明日謝ろう。

あたしは睦月の部屋をあとにした。
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