秘密の約束。
それより僕はここで寝転んで空を眺めたかったんだ。

この子がいたら静かじゃないし、一人じゃなくなるし、早く帰らないかなぁ。

とりあえず寝転がってどこかに行くのを待ってみる僕。

その子は泣き止んでこっちを見た。




「おかぁさ…ん……っく……と…おとぉ…さぁ、ん…知らない……?」

しゃくりあげながら僕に話しかける。


知るわけない…。僕は「知らない」とだけ返事した。

その子はどこかに行くどころか、僕に近づいてきた。

「お名前はー?」

寝転がっている僕の顔を覗きこんで聞いてきた。

僕はそっぽを向いて無視したのに、その子は気にせず話しかけてくる。


「あのねーいちかはいちかって言うの。」


いちかって二回言ってるじゃん。へんなやつ。

だけど僕に向ける笑顔には嘘がない気がして。思わず僕は答えた。

「…むつき」

いちかはもっと笑顔になった。僕は正直に可愛いと思った。
< 55 / 206 >

この作品をシェア

pagetop