秘密の約束。
そこが一番お気に入りの場所。なにも考えなくて済む場所。





半ズボンの僕は小枝にひっかかれながらズンズンと進む。

いつもいないそこには───

女の子がいた。








同い年ぐらいの女の子。泣いている。
うるさいなぁ……。
だから子供は嫌なんだ。




「おかぁーさん!おとぉさぁん!」

迷子なのか、親を呼んでいた。
僕は迷子になっても、もう来てくれない。

前まで迷子になったらああ言う風に叫んでたのにな…。

もう呼べない。呼んでも来ない。
呼んでいるその子がうらやましかった。

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