秘密の約束。
「睦月っ!……暴力じゃなにも解決しないよ。」




俺は石を投げるのを止めた。
こんなことされて悔しくねぇのかよ?
もっと自分のために怒っていいんだよ…




苺香は真顔だった。恐ろしいほど冷静だ。
手には拳が握られている。
そうか、苺香も俺と同じ気持ちだったんだ。そうだよな。
苺香は殴るのを我慢してる。それで解決しないことを知っているから。

苺香は─────
両親を失った時より強くなっていた。


「みっちゃん。」


俺はそこで立ちすくんで見物するだけだった。それしか出来ない。精一杯考えた俺の行動。

グラウンドに苺香の声が響く。



「あたし、みっちゃんがずっと好きでも嫌いでもなかった。
そりゃ時々ムカつくけど。

だけど、いじめようと思う気はなかった。
あーちゃんもそうだよ。
だって気にいらないことも気にいることもあるから友達でしょ?」

苺香は一息ついて、深呼吸した。

がんばれ…


「みっちゃんは今あたしをいじめて楽しい?嬉しい?泣いてるとこを見たい?
そうだとしたらそれは間違ってるよ。」


苺香は前とはどこか違っていた。雰囲気とか口調じゃない…なにかが変わっていた。
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