秘密の約束。
「────で?話って?」

おばあちゃんはわざとらしく笑って聞いた。
どっこらしょと座る姿は年を感じる。

「うん。実は…」

おばあちゃんはちょっと待って、と睦月の方に手のひらをむけた。

「どうせ辛気くさい話だろう?長くなりそうだから紅茶を入れるよ」

おばあちゃんはメイドを呼びつけた。

「ただいま、他のものが持ってきますのでおまち下さい。」

よく気がつくメイドだ。…メイドだから当たり前か。

「じゃあ紅茶がくるまで世間話でもしよう。
…あの子…、苺香ちゃんだっけ、かわいいね。」

おばあちゃんはにこやかに苺香のことを切り出した。

「うん、知ってる。いえば幼なじみかな。」

俺は少し照れ気味に答えた。

「ふーん。でも幼なじみには見えないけどねぇ」

< 93 / 206 >

この作品をシェア

pagetop