おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
「おつかれっ!寒っーー」

モヤモヤとなぜか泣きそうな心を隠しながら仕事をしているうちに、もうそんな時間になっていて、佐藤くんが出勤した。

いつもと同じ流れで佐藤くんの後に着がえに行った。
女友達について考えが止まらずにいるわたしは、笑顔で振る舞う裏ですごくすごく…どうしようもない気持ちになっていた。

いつも通り鏡の前でコートを着て、もう慣れたようにポケットに手を入れる。
今日も変わらずここに在ったこれ。
パッケージにはいつも通り、でも少し違うヒトコトが。

-めいわくかな?-



「めいわく…な…わけ…」

こらえて流せずにいた涙が溢れていく。
ポタポタと赤い箱に落ちてしまった涙をふいて、少しバックヤードで気持ちを落ち着かせた。

バックヤードを出たら、タイミングよく佐藤くんがブースの掃除に行く後ろ姿が目に入った。
わたしは静かに、でも必死に追いかけていた。

「佐藤くん…」小さく声をかけると

「わっ!びっくりしたー」
と驚いてわたしの目を見て

「どしたの?なんかあった?」

と…涙を止めてから来たはずなのにまたポタポタとこぼれてしまった。



「ううん…チョコ……チョコありがと。
迷惑なんかじゃないよ…ありがとね…
じゃあお先に失礼します」

走り去って、潤くんにも顔を見られないようにササッとお店を出ていた。


雪が降っている夜。


わたしは初めて、佐藤くんからもらったミルクチョコレートを車の中で食べていた。

甘くてしょっぱい、でも甘い。

″今日″の味がした。


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