おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
「目の前で食べてくれたの?」


「帰り際に渡してすぐ帰っちゃったから目の前ではない。でもねっ//」


意味ありげに含みをもたせるわたしにやまやまは


「なに?!」と早く先を知りたがった。


「帰り道にメールがきたのぉぉ//」


その場でぴょんぴょんと小さくはねると、キッチンとカウンターの境の板はギーギーっと悲鳴をあげる。
それまで必死に抑えていた幸せ全開なテンションをここで一気に解放させていた。


「クックック、まじかよ!なんて?」


黒ぶちメガネをしきりに触るやまやまは、繰り広げられていく展開に驚きを隠せずにいる。
わたしは、おいしいと言って喜んでくれたことを話した。
人に話すことで益々テンションがあがっていくのはなぜなんだろう。

「イタ子ちゃんやるね!アピールが早いよな」

感心するかのように驚くやまやまにわたしは続けた。


「でぇ!お礼がしたいって言ってきたの!」

「はぁ?水島くんが?」

「うん。だから…なんだかんだで…
ドライブ連れてって!って言っちゃった//あはっ」


「はぁ?おま、お前スゲーな!で?水島くんは?」

「そんなことでいいの?って、次シフト一緒の日にいつにするか決めようって」

「まじかよ…ついてけねー。
水島くんもまんざらでもない感じだよなぁ。連絡先の件もだけど、イタ子ちゃんに気があるのかもなぁ!」


めずらしく真剣なトーンのやまやまの言葉に、わたしは少し考えた。
水島くんは…わたしの事をどう思っているのか。
″ありがとう″と受け取ってくれただけで充分満足だった。
でもメールまでくれて、さらにはお礼がしたい。だなんて…
単に律儀なだけな気もするし…少しは期待できるのかな…。
なんて…色々と展開が早すぎて、本当はわたしも、やまやまと同じくらい
ついていけてなかったのかもしれない。


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