アッファシナンテ

胸が痛かった。
目の前で泣いているお嬢様に
嘘をつく自分の事が。
例え、崎本様が望まれていた事だとしても
やっぱりそこに愛はあったのだから。

最後の最後まで崎本様は
お嬢様を愛していた事を知っていたから。

だけど、卑怯な心が邪魔をする。
もしも今、本当の事を伝えてしまえば
お嬢様は崎本様の元へ
行ってしまうかもしれない。

9年間の片想いが見事に
砕け散ってしまうかもしれない。

春川「お嬢様は崎本様に
お会いになりたいのですか?
彼が今、どんな姿だとしても...。」

花恋「当たり前よ!
だって、彼は私が愛した人なのよ。
短かったけれど沢山の思い出があるの。
彼の過ごした時間は私の幸せだった。
...会いたいに決まってるじゃない!」
< 462 / 540 >

この作品をシェア

pagetop