花瓶─狂気の恋─

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教室は賑やかだった。

新しい友人、新しい制服、新しい学校生活、それだけを考えるだけでウキウキしている。

誰もが輪となって楽しそうにお喋りをしている。笑い声と会話で教室は満たされ、実に見てて微笑ましい状況。


だがその中で一人だけ、教室の隅で外に舞い上がる美しい桜の花びらをボーッと見つめていた。
他のクラスメイトとは逆の感情、退屈が現れていた。その和気あいあい出来なさそうなオーラを無意識に出していて、誰も話しかけてもくれなかった。


神崎 真帆はうんざりしていた。


小学・中学と何となくで過ごし、高校も自分の学力を考慮しつつ親が決めた所に来た。
望んできた場所ではないし、他に希望もない。
ただ今日という時間をぼんやりと過ごしているだけだった。

趣味なんて一切ない。興味が惹かれることは多少あるが、それは熱中しない。それも何となく、暇だからやる。

だから毎日が"生きている"とは思えない。これが生き地獄と悟っていた。


「ねぇ真帆!何でそんなボーッとしてんの?」


そう言って真帆の目の前の空席に座ってきたのは丹沢 晶子。真帆とは友人関係で、同級生の中で中学が同じなのは彼女だけだった。
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