花瓶─狂気の恋─
明らかにテンションが違う。歓迎してくれる雰囲気とは程遠い。それは真帆が漂わせていたオーラが原因、それは彼女も重々承知だった。
「...晶子、やっぱりいいよ私」
「え?どうして?」
「それにもうそろそろオリエンテーションの時間だよ。ほら、早く行かないと。」
真帆は時計を指さすと、集合時間の十分前。担任の先生からも十分前には行動するよう言われているので、他の生徒もゾロゾロと向かい始めていた。
「あっ!そうだね。うん、じゃあ行こっか。」
晶子は真帆の手を引くと、教室を出て集合場所である体育館へと足を進めた。
同じタイミングで動き出したのが多いのか、廊下には一年生でほぼ埋め尽くされていた。
「はぁ....さっきの三人あからさますぎるでしょ。そんなんじゃあ突っ返して貰った方がマシ。」
「確かにちょっと良い雰囲気では無かったけど...真帆も少し悪いと思うな。あんな負のオーラを出されたら誰も近づけないもん。」
「そうだね....だけど、それにも関わらず話し掛けてくる物好きは晶子だけだね。」
「何か引っかかるけど...まぁいいや。取り敢えず真帆は入る部活決めた?ここの学校部活の数多いよぉ〜。中学なにもしてなかったんだから、この際何でもいいから入ってみれば?
少しは熱中しそうなものとか見つかりそうだし。」