運転手はボクだ
「…恵未ちゃん」

「わっ」

…びっくりしたぁ。
社長の言った言葉を考えながら、結果もたもたと下着をつけ、身なりを整えて出たら鮫島さんが居た。

「ごめんごめん。驚かすつもりはなかったんだ」

「はい、解ってます」

「千歳が寝たから、片付けようと思って」

「あ、後片付け…いいですよ、私がするので」

「一緒にする約束だっただろ?」

「え?」

確かに。そんな風に言いながら金魚すくいに慌てて行ったんだった。でも、それは、ね?そう言うものですから。


「大丈夫ですよ?お仕事で疲れてるのに。もう、休んでください。これは私の、仕事です」

…。あ。折角だから、手伝ってもらった方がいいのかな。だって、だから、こうして来てくれたんだものね。一緒にしてる間に少しは話も出来るかもだ。

「あ、鮫島さん。お風呂は?」

明らかにサッパリしましたって感じだけど…。

「あ。…軽くシャワー程度に…さっき」

「そうですか」

ですよね…。ボディソープの香りがしてます。…………ん?…ん?…あ゙!あーっ!

「え゙、入ったんです、ね?」

アレ、見たんですね?諸々…そうですよね…。

「あ、…あの!」

「あー、うん。…アレは簡単に、グルグル丸めるようにして片づけておいた。その…服で丸め込んだから。気にしないで…って言う立場ではないけど、気にしないで?パパッとして、ほぼ見てないから」

…。

「や、…もう、俺、まっぱで…それで有る事に気がついたから…そうするしかなくて、ごめん、気にするよね。そのまま置いとくのも…色々思われても嫌だし」

仕方なく、退けたんですよね?
あはー…。

「…大丈夫です。でも恥ずかしいです。妙な物を置きっぱなしにしてすみませんでした。アレは社長のせいなんです」

「濡らされちゃったみたいだね。妙な物なんて事はないけど、んー、ごめん、勝手に触ったりして」

「いえいえ、それは私が悪いんです。だから、ごめんなさい」

トホホ…もう…。忘れていた訳じゃないけど…。出たら、鮫島さんお風呂に入るよね…。
入ったらあるはずのない物があったから…。グルグルっと…。はぁぁ…恥ずかしい…。

「片付けよう?」

「え?え?あ、はい」

食器を洗い始めた。洗って流して、二人の流れ作業だとあっという間に終わるだろう。

「これは俺が言うのもおかしいけど、いつまでもその話を押し問答し続けるのも逆に恥ずかしくなるだけだもんな。止めよう?あ、俺、確信犯とかじゃないからね。わざとじゃないから。あるなんて知らなかったから」

「はい、それは解ってます、それは大丈夫です。…あー、結局、私達は金魚すくい、できませんでしたね」

「言われてみればそうだな。やる?」

鮫島さんが掬う真似をして見せた。

「え?」

「片付けて、やる?金魚すくい」

「あ、はい。はい!します、したいです」

「フ、じゃあ、しよう。巻きで片付けよう」

「はい」
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