運転手はボクだ

「はぁ、何であんな風に言っちゃったんだろう」

「そう言わなきゃ気が済まなかったからだ」

「…そうですね」


夜が明けた。
はぁ、今日のいつ帰ってくるんだろう。
帰ってきたからって…それで終わりじゃなく、改めた話があるかも知れない。
社長…、昨夜、冗談で、一緒に寝てやろうか、なんて言ったりして。意味は傍に居ようって事なんだろうけど。
いくら何でも一緒に寝るなんて事はね。
気持ちだけ、有り難くいただきますと断わったけど。

RRRR…。あ、電話。

成さんだ。

「は、い」

「恵未」

「あ、は、い…」

「ちゃんと終わらせた。帰ってるから」

「はい」

「急に飛び出して悪かったな」

「いいえ」

「話は帰ってからするよ」

「はい。あ、運転、気をつけてください…急がなくて大丈夫ですから」

「…有り難う。解ってるよ、じゃあ」

「はい」

はぁ、終わらせたって言った。

「鮫島だろ?」

「わっ。…はい。
直ぐ御飯の支度します」

…いつの間に。

「急がなくていいから。帰ってるって?」

「はい」

「そうか、やっぱり昨夜、強引に一緒に寝たら良かったな~」

もう。直ぐそんな事を…。

「そうですね。もう、チャンスは二度とありませんよ?」

「フ。少しは安心したみたいだな」

「え?」

「そんな事が言えるって事はって、ことだ」

「あ。そうなんですかね。帰って来てるってだけで、まだ解りませんけど…」

そうか…、私、さっきまでと何だか違ってる…。

「そうだな。…解らないな。実は…って、事になるかも知れない」

「はい。お水…飲まれますよね?」

「ん」

椅子に座り、いつものようにバサバサと新聞を広げた。
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