four seasons〜僕らの日々〜
「やっぱりお前は嘘つきだ。そしてただの偽善者だ」

「何でそんな言い方…！！」

怒りがこみ上げてくる蓮に、翔は冷たい目で話し続ける。

「お前は自分の気持ちを殺して、その女と一緒にいる。その選択で誰も傷つかないと思ってないか？それは大間違いだ！」

美桜たちは楽しそうにしゃべっている。翔は一瞬優しい目で誰かを見た後、また冷たい目で蓮を睨んだ。

「お前が今の道をこれからも突き進むつもりなら、アイツは俺がもらう。アイツを何度も泣かせるお前にアイツは渡さない。俺が攫って離すつもりはない」

そう言うと美桜たちのところに歩いて行き、「デートの邪魔になるだろうし、俺たちもそろそろ行こう」と言った。

そう翔が言った時、美桜が悲しそうな顔になったのを蓮は見た。

「じゃあ私たちは楽しんでくるよ！」

椿が明るい声で言う。美桜も笑顔になり「花火が上がる時、一緒に見れたらいいな」と言った。

翔の言葉が離れないまま、蓮はその場に立ち尽くした。

「じゃあ、またね！」

「また出会える奇跡を望む！！」

「……」

呆然とする頭の中に、三人の声が聞こえた。そのまま三人は人ごみの中に消えていく。

「蓮？どうしたの？」

椿の声で現実に蓮は引き戻される。キョトンとする椿に「何でもない」と蓮は笑顔を作った。
< 111 / 280 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop