four seasons〜僕らの日々〜



美桜たちと別れた後、蓮は祭りを楽しむことはできなかった。

美桜たちがいないか辺りを見渡し、椿とあまり話すことはできなかった。

しばらくすると花火の上がる時間が近づき、蓮と椿は屋台が祭り会場から少し離れた河川敷へと向かう。毎年ここで花火を見ている。

真っ暗な河川敷には蓮と椿以外誰もいない。

「特等席だね〜」

椿が笑うが、蓮は何も言えない。

この重い空気に耐えられなくなったのか、椿が「飲み物買ってくる」と言って走っていった。暗闇の中に蓮は一人残される。

美桜と一緒に行っていたらどんな顔でここにいるのだろうか。蓮はふと考える。

美桜といると心が弾む。緊張してしまうけど楽しい。

今まで浮かばなかった歌が、形になっていった。
< 112 / 280 >

この作品をシェア

pagetop