four seasons〜僕らの日々〜
しかし、美桜は思う。時はこのままゆっくり流れてほしいと。

隣で笑う蓮が誰よりもすてきで、かっこいい。隠し続けている想いが実らなかったら、蓮のこの笑顔を見ることはできなくなるかもしれない。

そう思うと、楽しみにしている景色も違って見えた。



「木下さんってかわいくなったよな。特に最近!」

クラスの男子の間で、このことは少し話題になっていた。

「蓮!お前はどう思う?」

そう不意に訊かれた時、蓮は「そうだね…」と曖昧な返事をした。

美桜がかわいいことを、蓮は出会って美桜に恋をしてとっくに知っている。白いきれいな肌も、抱きしめたら壊れそうなぐらいに細い体も、誰かを見つめる優しげな目も、どんなにきれいと言われる女優やアイドルより輝いてかわいく見える。

今さら美桜ちゃんのかわいさに気づいたやつに、美桜ちゃんは渡さない…!

蓮は心の中で、美桜をかわいいと言っている男子全員に宣戦布告をした。

視線を傾ければ、椿と楽しそうに美桜が話している。その横顔にまた蓮の胸が高鳴る。美桜を好きになって何度胸が高鳴ったのだろう?きっと数えることはできない。
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