カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「なんかさ、お前はクリエイターの適材適所ってものをわかってるんだと。どんな仕事だろうと、プロだからえり好みはしないけど、お前が持ってくる仕事はいつも、自分からやりたいって手を挙げたいようなものばかりで、だから自然にテンションあがるんだとさ」
うそ……ほんとに?
私は信じられない思いで、坂田の言葉に耳を傾けていた。
ほんとなら……ものすごく、うれしい。
「な?」
部長が私を覗き込む。
「女子力アピールのために弁当作ってくる奴より、お前の方がずっと、人間として魅力的だと俺は思うよ。見てる奴はちゃんと見てるんだから、自信持て」
「ぶちょー……」
やばい、泣くっ……
ペコっと私は思いっきり頭を下げた。
「もう一生、部長についていきますっ! よろしくお願いします!」
「ははっ……期待してるぞ」
ポンポンってもう一度、頭に置かれた手がうれしくて。
下を向いたまま、にじんだ涙をそっとぬぐった。
そこへ。
プルルルっ……
オーソドックスな着信音が鳴り出した。
それぞれ持ち物を探った結果。
「クライアントだ、悪い」
部長がスマホを片手に席を立っていく。