カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「らぶざわーるど、ね」

あっさり名前が判明してしまい、肩から力が抜けた。

『……真杉さん』
電話の向こうで、ふと声の調子が変わる。

「な、何?」

『彼、ライさんのことは、ちゃんとフッていただけたんですよね?』

ぎくりと背筋が強張る。

「え、ええと……」

どうしよう、そこに突っ込まれたときの返事を、用意していなかった。
どうしよう?
ほんとのことを話すべき?

「じ……実はそのぅ……悪い人じゃ、ないっていうか……結構、ちゃんとしてるっていうか」
取り繕う言葉も思いつかないまま、とつとつと口にすると、向こうで彼女が息をのんだ気配がする。

『真杉さん、もしかして、彼と会ってるんですか?』

「あ……」

まずい。黙っちゃった。
これじゃ肯定したも同然だ。


『ダメですよっ! 信じちゃダメです!』

悲鳴みたいな声が響いた。

『真杉さんも言ってたじゃないですか。そんなハイスペックな人が出会い系なんて使うわけないって、怪しいからやめておいた方がいいって!』

「う……え、と……」
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