カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「ねえ、大河原に裏で話、つけてあげようか。おたくを採用するようにって」
「いえ、そんな……うちはちゃんと、実力で突破しますから」
「そんな強気なこと言っちゃって。いいのかなぁ? 足元、すくわれないかなぁ?」
思わせぶりな目くばせに、なぜか不安になった。
「どういう……意味ですか」
「さぁねぇ? 君次第、かなぁ。初めて見た時からさ、欲しいなって思ってたんだよねえ。気の強そうな女を手なずけるのって、最高にワクワクする……」
耳元に、フゥッと生温かい息が吐きかけられて。
気持ち悪すぎて、たまらず「止めてください!」って声を上げていた。
窓の外を見れば、もう宮益坂下の交差点だ。
駅はすぐそこ。
ホッとしながら、もつれる指でお札を何枚か取り出して、運転手さんに押し付けるように渡した。
そしてドアが開いてすぐ、降りようとして——
素早く、中から腕をつかまれた。
「いいのぉ? 降りちゃって。知らないよ? 後悔しても」
小さな目の奥に、ギラギラと見え隠れする粘着質な光を見て。
チラリと、再び小さな不安がよぎる。
何? 彼のこの余裕は、一体……何?
クライアントだから?
大河原さんのお気に入りだから?
でも、それだけ?