カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「とりあえず渋谷通り過ぎて、道玄坂上ってよ」
タクシーに乗り込むなり言う本宮さんに、ますます緊張が募る。
道玄坂……って、あっちたしか、ホテル街あるんじゃなかったっけ……
「あ、あの渋谷駅で一人降りますから」って急いで運転手さんに告げて。
とりあえずの予防線を張っておく。
「家まで送ってあげるのに」
「いえ、うち神奈川近くまで行くんですよーもう少し会社の近くに引っ越したいんですけど」
大嘘つきながら、密着してくる足からジリジリ体を離そうと試みる。
「真杉ちゃんてさぁ、一見デキるキャリアウーマンって感じで、なんでもソツなくこなせちゃいそうだけど、実は恋愛下手だったりするでしょ」
い、一見てなによ、一見って!
相当失礼ね、こいつ。
「しっかり者の姉さん女房タイプって思わせて。でも実は頼りたい願望ってあるんじゃない? 当たりだろ?」
……ブチブチっ。
勝手に人のこと、分析するんじゃないわよっ!
「さぁ……どうでしょう?」
引きつった顔でかわしてると、つっと本宮さんの手が私の膝を撫でた。
「ちょっ……」
「ぐいぐい引っ張ってくれる強い男が、好みだったりするんだよねぇ。例えば俺みたいな、さ?」
腕や肩へ、そわそわと指が這って。
あまりの不快感に吐き気がした。