カボチャの馬車は、途中下車不可!?
コンコン
窓ガラスをたたく軽い音がして、私たちは同時に車外へと目を向けた。
「すみませーん、ここらへん駐禁なんで、移動してもらっていいですか?」
ガードマンさんにぺこりと会釈されて、
「ごめんなさい、すぐに!」と、かばんをつかんでドアを開ける。
「飛鳥、迎えの時間」
「え? えーと……じゃあ7時!」
「了解」
「じゃあねっ」
「飛鳥」
「え、まだ何かあるっ?」
振り返った途端、端正な顔が息がかかるほど間近にあって。
避ける間もなく……彼の唇が、私のそれに優しく重なった。
「愛してるよ」
「〜〜っ……!」
口をパクパクさせて抗議の言葉を探していると、あっさり離れた美貌の主は、ハンドルに両腕を乗せ、にやりと笑う。
「ほら、早く降りないと。ガードマンの彼、真っ赤になってこっち見てる」
「う、うぅ」って呻きながらひと睨みして、バタバタと車から降りた。
本当にもう……彼に振り回されっぱなしだ。
歩き出しても、なかなか背後の車は動き出す気配がない。
どうやら私がビル内に入るまで、見守るつもりらしい。
背中に感じる熱い視線を振り切るように、足早に離れた。
なんだか彼、過保護すぎじゃない?