カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「あの……ね。ライアンに、ずっと謝りたいと思ってたことがあるの」


今なら、言えそうだ。
そんな気がして、私は口を開いた。

「謝る? 僕に?」

「うん。あの……線路に落ちかけた日のこと、覚えてる?」

「もちろん」

「事故の前のことも、覚えてる?」

「え……うん、たぶん。どんなこと?」

「改札入る前……私、ライアンに言ったでしょ。『嫌ならカナダに帰っちゃえばいい』って」

ライアンは、食べかけのおにぎりをゆっくりと下ろした。
「覚えてるよ」


——だってあなたは日本人じゃないもの。そりゃ永遠にわからないでしょっ! そんなに嫌なら、さっさとカナダに帰ればいいじゃないっ!


ずっと、心にひっかかっていた。

売り言葉に買い言葉、みたいな、勢いで飛び出してしまったものだけど、なんてひどいこと言っちゃったんだろうって。

私が外国で、そんな風に言われたらどうだろう?
< 261 / 554 >

この作品をシェア

pagetop