カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「あの……ね。ライアンに、ずっと謝りたいと思ってたことがあるの」
今なら、言えそうだ。
そんな気がして、私は口を開いた。
「謝る? 僕に?」
「うん。あの……線路に落ちかけた日のこと、覚えてる?」
「もちろん」
「事故の前のことも、覚えてる?」
「え……うん、たぶん。どんなこと?」
「改札入る前……私、ライアンに言ったでしょ。『嫌ならカナダに帰っちゃえばいい』って」
ライアンは、食べかけのおにぎりをゆっくりと下ろした。
「覚えてるよ」
——だってあなたは日本人じゃないもの。そりゃ永遠にわからないでしょっ! そんなに嫌なら、さっさとカナダに帰ればいいじゃないっ!
ずっと、心にひっかかっていた。
売り言葉に買い言葉、みたいな、勢いで飛び出してしまったものだけど、なんてひどいこと言っちゃったんだろうって。
私が外国で、そんな風に言われたらどうだろう?