カボチャの馬車は、途中下車不可!?

ボソリと声がして。
ドアの方を見ると……

「おおお、大河原部長っ? え、なんで……え、だってさっき……お出かけに、飛行機が、あれ? どうしちゃったんですかぁ?」

入ってきた白衣姿のその人へ。
手のひらを返したように本宮さんは腰を低くして、へらへら笑いかけた。


あぁ……
目の前が、遮光カーテンを引いたみたいに暗くなっていく。


この後の展開が、手に取るように予想できてしまったから。

本宮さんは都合のいいようにぶちまけるだろう。
元から最悪のうちの心象は、地の底以下まで落ちて。
今後数年、ううん、永久に出入り禁止……決定か。


あぁ、終わった。

日下課長……ごめんなさい。
目を閉じて、心の中で謝った。



でも。

いつまでたってもその時は訪れなかった。
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