カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「大河原部長っほんとに……ありがとうございますっ」

2人きりになった会議室で、私は改めて頭を下げた。

「なんのことかな。私はただ、君と話をしたいと言っただけだ」

「はいっ」
こくこく首を上下させて、浮かんだ涙をさっと払う。


「真杉さん」
「はいっ」

返事をしてから……気づいた。
この人に名前を呼ばれるのは、初めてだ。

さっきの会話を巻き戻してみるけど、本宮さんも樋口さんも、私の名前を呼んでなかったはず。ってことは……
ほんとに私のこと、覚えてくれてたんだ。

うわ。
なんだか結構、ううん、かなりうれしいかも——


「もう二度と、本宮が君の前に顔を出すことはないと約束しよう。嫌な思いをさせてしまって、本当に申し訳なかった。この通り、許してほしい」


そして……深く、頭を下げたの。
私に向かって。
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