カボチャの馬車は、途中下車不可!?
◇◇◇◇

「え……じゃあ、やっぱりダメだったの?」

ライアンが、意外そうに目を開いた。
食器棚からお椀を取り出しながら、私は「うん」って頷く。

「なんだぁ、飛鳥、徹夜までして頑張ったのに」


1週間後——プレミアムフライデーの夜。仕事帰りに、ライアンを自分の部屋へ招待した。そして、プレゼン結果が不採用だったことを話したのだ。

本宮さんが新規代理店参入の妨害工作を続けていたことは確かだったそうなんだけど。
彼はただ、失点によって大河原さんの力をそぎ、各部の対立を煽って自分の地位を確固なものにしたかっただけのようで。
帝電との間に、現金などの直接的なやりとりはなかったらしい。

問題はないということになり、多くの支持を集めた帝電案が採用となった。


自分のことみたいに落胆してくれるライアンをほっこりした思いで見上げると、私は「でもね」って続けた。

「別の商品で、うちの企画を使ってもらえることになったの」

実は今回のキャンペーンとは別に、違う商品でウェブ限定の料理コンテストをやることになり、そちらを、うちが担当させてもらえることになったのだ。

「え……それってつまり、今後に期待できるってこと?」

彼の言葉に、「そうなの」って、大きく頷いた。

今回うまくいけば、将来別の仕事をもらえるかもしれない。
そうやって、次へ次へ、つなげていくことができれば……

まずは第一歩。すべてはこれからだ。

日下課長はもう大喜びで。
新条部長も、よくやったって誉めてくれた。

もちろん上司への相談前に行動してしまったことは注意されたけど、結果オーライということで、お咎めなしになった。
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