カボチャの馬車は、途中下車不可!?

——今日は一日、飛鳥を離したくない。


朝ごはんというよりは、ブランチのような食事を一緒にとりながらライアンに言われて、デートすることを承知したんだけど。

チラッと不安がよぎったのも確かなのよね。
彼と金銭感覚が違うってことは体験済みだし。
ゴージャスな散財デートになったらついていけないかも、って思って。

ところが案に相違して、彼が提案したのはドライブで。
私たちは今、湘南の海を眺めながら、ひたすら国道を走ってる。


「たまにはこういうのも、いいだろ?」

片手でハンドルを操りながら、ライアンがチラリと視線をよこした。
「そうね」って素直に同意して、開け放った窓から流れ込む潮風を深く吸い込む。

「晴れててよかった……気持ちいい」

こんな風に、どこまでも遮るもののない景色なんて、いつぶりに見るだろう。
目が、その青さと眩しさに慣れなくて、痛いくらいだ。


「日本のレインシーズンって、そろそろ終わりだろ?」
「うん、もうすぐだと思う。今年も暑くなりそう……あっ! サーフィンしてるっ!」
「ほんとだ。結構いるね」
「みんなうまーいっ」

ぽつりぽつり、景色を眺めながら言葉を交わす。
呼吸するように、それは自然な時間で……。

いいなぁ。
こういうの。

会社で過ごす時間とも、一人で過ごす時間とも違う、別の時間。
彼のそばで、その存在を感じながら——

長い間忘れていた甘酸っぱい心地に、自然と力が抜けていく。
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