カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「I’m glad to see you」

再び、あの朗らかな声が聞こえて。

ようやく、彼の手が伸ばされていることに気づいた私は、あ、握手かって、あたふたと自分の手を差し出した。

ところが。
骨ばったラインすら見惚れるほど美しい長い指は、私の手を捕らえると反転させ。
すっと引き寄せた。

あっと思った次の瞬間には、甲に唇の感触——


「っ……!」

ほんのわずか、触れたそれから伝わる柔らかさと熱に、
ビクッと震えてしまった。

そんな私に気づいたんだと思う。
彼が、伏せていた目を上向けた。

新緑を映したような瞳が、面白そうに弧を描いていることを知って、また焦る。

ま、まずい……
こいつのペースに乗せられそうになっちゃった。
落ち着け。落ち着け……

動揺をひた隠して、自分の手をそそくさと引き抜いた。

「なっ……Nice to meet you」
上ずった声で、ひとまず無難な挨拶を返してから、頭の中を猛烈なスピードで回転させる。
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