カボチャの馬車は、途中下車不可!?

ど……どうしよう。
まさかヨーロピアンガイがやってくるなんて、想定外だった。

ネイティブ相手に英語なんて一体何年ぶりだろう?
こんなことなら、社内研修受けとくんだった!

なんて今更言ってもしょうがないし。
とりあえず、まずは自己紹介からよね。
えーっと……



「ありがとう。気を使ってくれるのはうれしいけど、日本語で大丈夫だよ?」


「へ……?」

視線を戻すと、微笑を浮かべた彼が、私を静かに見下ろしていた。

吸い寄せられるように、セクシーな曲線を描く口元を凝視してしまう。
今のって……彼、よね?

「どうぞ、座って?」

促されるまま、マリオネットみたいにぎこちなく、ソファにお尻を落とす。

「軽く飲んでも構わないかな、喉渇いてるんだよね」
「あ、はい……」

しゃ、しゃべってる、確かに彼が!
なんなの、この流暢さっ!

瞠目しながら、私は向かい側に座った彼にドリンクリストを手渡した。
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