カボチャの馬車は、途中下車不可!?

後ろから伸びてきた腕に、唐突に羽交い絞めにされた私は強引に引きずられ、ライアンから引き離された。



「大事な大事な、お姫様……ね、……はっ」

耳元で、乱れた呼吸が混じった、都築さんの嗤い声がした。
首筋に、ぐいっと何かが押し当てられた感触がする。

先の尖った、何か。


ギクっと……体が強張った。

「おい、バカなこと……」

近づこうとする伊藤くんへ、「来るなぁっ!!」って噛みつくように吠える。

「逃げられると思ってるのか、都築」

「うるさいっうるさいっ! 逃げてみせるともっ!! この女傷つけられたくなかったら、そこをどけ!!」

叫びながら、私の体を盾にして、ぐいっと前へ踏み出す。


ライアンは……「わかった」と両手を上げ、脇へどいた。


「けっ、形勢逆転、だなっ……はは、は……っ! ざまぁみろっ!」


狂気に満ちた声を聞きながら、私は猛烈に自分を罵った。


バカバカッ! 私のせいだっ……。
私がさっき、ライアンを止めなければ……


でも、もう遅い——

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