カボチャの馬車は、途中下車不可!?

ジリジリと。


ライアンたちから距離を取りながら少しずつ、私を引きずるようにして、都築さんはドアへと進んでいく。



どうしよう——
どうしたら——

強く腕で締め付けられているせいか、それとも焦りと緊張のせいか……お腹の底から吐き気がこみあげてくる。
唇をきつく噛んでその不快感に耐え、ライアンを振り返った。



ごめんなさい……っ! 


心の中で彼に謝った、その時。


私の視線を受け止めた彼が——いたずらっぽく片目を閉じた。


う、ウィンク? 
こんな状況で、一体何考えてるの?

意味を測りかねたまま、ぽかんとしていると。
彼の目が、チラリと自分の腕時計へと落ちた。




そのすぐ後だった。

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