カボチャの馬車は、途中下車不可!?
あの言葉があったから、彼のこと、そういう裏社会ともつながりがある——探偵かなって考えたのよね。
シンシアも言ってたし。
ライアンは危険な男、とか……。
「どういうこと? 仮にも御曹司がそんな……」
大企業の御曹司が、マフィアとつながってたりするの? それってまずいわよね?
それとも……巨大企業だと、ヤバい筋ともそれなりにつき合いがあったりするのかしら。
それこそ映画のようなドロドロしたものを想像して、若干青ざめている私を、伊藤くんは苦笑いしながら見た。
「変な事考えるなよ? 経営はいたってクリーンだ」
「でも……」
「ライが特別なんだよ。あいつは……まぁとびっきりの御曹司ってことは保証するけど、サラブレッドってわけじゃないから」
サラブレッドじゃない、とびっきりの御曹司?
「どういう……こと?」
訳が分からないまま聞き返したけど、返ってきたのは、諸手を挙げての降参ポーズ。
「オレに言えるのはここまで。あとは本人から聞いてくれ」
「……本人に聞けないから聞いてるんじゃない」
どこか不貞腐れたような口ぶりを自覚しながら、ぼそりとつぶやいた。
「彼は今、どこにいるの?」