カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「そこで、社内に極秘部署——シークレットデパートメントができて、オレたちが集められたんだ。トラブルが発生した、もしくは発生しそうな時、迅速かつ秘密裡にそれを解決するために」
「な、なんか……映画か小説みたいな話ね」
唖然とする私を見て、伊藤くんは肩をすくめた。
「別に毎回体張ってるわけじゃないぜ? メインは頭脳戦かな。何しろSDのメンバーは全員グループ内、もしくは関連企業の御曹司で、それぞれ自分の仕事も抱えてるから」
「お、御曹司っ!?」
「そう」
あっけらかんと頷く彼を、ついつい穴が開くほど見つめてしまう。
それはつまり……
「あなたもライアンも……御曹司、ってこと?」
あの設定は、フェイクでもなんでもなくて、事実だったの?
御曹司様は軽く顎を引いて、それを認めた。
「うちは末端で、たいしたことないけど。ライんとこはかなりでかいぜ。創業ファミリーの分家筋だから。親父さん、北米エリアのトップだしな」
そ、創業……ファミリーって。
あのリーズグループの?
なんだか規模が大きすぎて……想像が追いつかない。
あれ、でも……ちょっと待って?
私は首を傾げた。
「伊藤くん、確か言ってたでしょ? ライアンのケンカはマフィア仕込みって」