カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「……べ、べつ、じん?」

思うままにならない口を、なんとか動かす。

「メールだとさ、マユミってもっと……」

続きは、くぐもった笑いとともに、露わになった胸元に押し付けられた唇の奥へ消え。
私の耳には届かなかった。

でも——
『メール』? 『マユミってもっと』……?

含まれたワードが、痺れるような陶酔感を遮断した。


「ちょ、ま……っ」


あんなに熱かった体が、急速に冷えていく。


そうだ……メールを送ったのは、私じゃない。



私、何をしてるの?

今日、彼に会ったのは何のため?
彼を、フるためでしょう?

彼が興味を持ったのは、メールを送った女で。マユミで。
つまりそれは——青山さんで。


私じゃ、ない。
私じゃ……
< 84 / 554 >

この作品をシェア

pagetop