新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない


「ジュエリーを恋人に贈るっていうと、目的は相手を喜ばせたいとかに限定されますよね? でも、そうじゃなくて、もっとこう……具体的な目的で切り込んでいくのも有りじゃないっすか?」


その言葉に、全員が息を呑む。

具体的な目的で、切り込んでいく……?

そして数秒の間を開けてから、今度はリーダーである根岸さんが何かを掴んだように息をこぼす。


「……へぇ、なるほど。ターゲットじゃなくて、目的で差別化を図る、か」

「だとしたら……例えばですけど、"感謝"とか、どうですか?」


次の瞬間、つられて言葉が唇から滑り落ちた。

慌てて「す、すみません」と頭を下げたけれど、先ほどとは違った理由の動悸が治まらない。


「あ、あの、私……。偉そうに口出しできる立場じゃないのに、その……」

「花宮、謝らなくていい。花宮だって企画課のメンバーのひとりなんだから、どんどん意見は言ってほしい」


優しい根岸さんの声に俯きかけていた顔を上げると、言葉の通り、みんなが私の意見の続きを待ってくれているようだった。

まだ新人の私が、新企画について口出しなんてしていいのだろうか。

そう思って今まで恐縮していたけれど……ここで働いている以上、いつまでも恐縮しているわけにもいかない。

だけど、そんなふうに思えるのもきっと、湊が『桜は桜らしく頑張れ』と言ってくれたからだ。

私は、私らしく……前を向いて頑張っていいと、湊が背中を押してくれたから。

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