新妻独占 一途な御曹司の愛してるがとまらない
「近衛さんから花宮の家の事情とかは予め聞いてたから、どんな子が来るんだろうって気になってはいたんだ」
「そうなんですね……」
「ぶっちゃけ最初は、苦労が顔に滲み出てる子なのかなーとか思ってたんだけど。でも、実際会ったらそんなことなくて、なんていうか……原石みたいな子だなって思ったよ」
手元のグラスを傾けながら、根岸さんはそっと顔を綻ばせた。
その仕草はなんだかとても色っぽくて、思わずボーッと魅入ってしまう。
「花宮を見てると、なんか、昔の自分を思い出すよ。ひたすらガムシャラに、夢を追いかけてた頃の自分を。だから、俺ももっと頑張らなきゃなぁーって、背中を叩かれた気分になる。仕事の楽しさを、思い出すよ」
お酒が通って上下した喉仏が、一段と男らしさを感じさせた。
慌てて目を逸らした私は、「そんなことないです」と小さく首を横に振る。
……私が原石みたいな子だなんて、勿体無い言葉だ。
ガムシャラに夢を追いかけていた頃の根岸さんに似ているだなんて、企画課のリーダーである彼に言われたら恐縮してしまう。
だけどもし……本当にそんなふうに根岸さんが思ってくれたのだとしたら、それは間違いなく、湊のお陰だと思う。
だってこうして今、ここに私がいられるのも、湊と出逢えたからこそだ。